セアカゴケグモ



セアカゴケグモは、セアカゴケグモはヒメグモ科に分類される毒グモの一種です。

日本名は「背中が赤い後家グモ」という意味。
後家グモの呼び名の由来は、その毒によって咬まれた男性が死亡すると未亡人(後家)が増えるというところから。
海外でもネーミングセンスは同じで、「Red-back widow spider(背中が赤い未亡人蜘蛛)」と呼ばれています。
戦闘機オスプレイの別名「Widow Maker(未亡人製造機)」と若干ニュアンスが近いですね。

ただしこのクモは交尾が終わるとメスがオスを食べてしまうことがあって、
後家グモの呼び名の本当の由来はこちらではないかという説もあります。
旦那を食べて自ら未亡人(後家)になるって・・・ああ、おそろしや(汗)

セアカゴケグモ セアカゴケグモ


< 日本に入ってきたセアカゴケグモ >
元々はセアカゴケグモは日本には生息していませんでした。
原産地はオーストラリアで、むこうでは極めて一般的に見られるクモの一種です。

日本で最初に発見されたのは1995年に大阪府高石市で。
輸入木材などにくっついて日本国内に入ってきてしまったと考えられています。
それ以後も大きな港や空港がある地域で発見が相次ぎ、現在では港町に限らず全国各地でその姿が確認されています。

しかも残念ながらセアカゴケグモは日本の気候に適応してしまい、
越冬、繁殖に成功して生息域を広げているのが現状です。
県や市が特定危険外来種として積極的に駆除に当たっていますが、
日本国内のセアカゴケグモを一匹残らず絶滅させるというのはさすがに不可能でしょう。

2015年に新たに北海道でも十数匹のセアカゴケグモが発見されたことにより、
いまの時点ではセアカゴケグモは41都道府県にて存在が確認されています。
新たな場所で確認されるたびに市区町村が発表したりしていますが、
福岡市ではここ4年間で8000匹以上が発見・駆除されていたにも関わらず市民に公表されていませんでした。
パニックを避けたかったということですが、最低限の注意喚起はしてもらいたいものですね。

セアカゴケグモ セアカゴケグモ


< セアカゴケグモの生態 >
セアカゴケグモは、オスが体長3〜5mm、メスが体長10〜20mmぐらいの大きさです。
オスはメスに比べてかなり細くて小さく、体色も薄め、背中の模様も赤ではなく茶色系の色をしています。
逆にメスはかなり胴体部分が大きくて体色は真っ黒、背中の模様は鮮やかな赤い色をしています。
たまに足が茶色と黒のツートンカラーになっている個体なんかもいたり。

元々温かい気候が原産地のクモなので、雨風をしのげる暖かい場所を好みます。
建物、排水溝、ブロック塀などの隙間や、プランターの陰、ベンチの下、ガードレールの支柱裏、
あとは自動販売機の裏やエアコンの室外機の隙間などの人口的な熱源のまわり。
不規則で乱雑な糸の張り方で巣を作り、そこでじっと獲物がかかるのを待っています。

基本的に攻撃的な性格ではないので、クモのほうから積極的に人間に咬みついてくることはありません。
危険なのは、たまたまセアカゴケグモが巣を作っている場所に手足を入れてしまうケース。
細い隙間の清掃や、プランターの手入れ、屋外に放置していたヘルメットや長靴の装着時などは注意が必要です。
セアカゴケグモの繁殖が確認されている地域では「もしかしたらここにクモが巣を作っているかも」という
万が一の想定はしておいたほうがよいでしょう。
ちなみに毒がある牙は短いので、長袖の服や軍手を着用するだけでもかなりリスクは減らせます。

セアカゴケグモ オス セアカゴケグモ メス
セアカゴケグモのオス(左)と、メス(右)


< セアカゴケグモの食事と天敵 >
セアカゴケグモは三次元上に不規則な網を張ってターゲットを狙う肉食系のクモで、
巣にかかった小さな昆虫を主にして食べています。
巣の形状がチョウやガのような飛翔する生き物よりも、地上を歩く生き物を捕らえるのに適した形をしているため、
アリやハサミムシ、ゴキブリなどを捕らえて食べることが多いようです。
それほど大きな体格をしていないクモなので、ターゲットになる昆虫も必然的に小型なものが中心になります。

逆に天敵は、ベッコウバチやハナバチのような寄生蜂。
あとは未確認ではありますが、クモ全般を主食とするような鳥類、トカゲ、小型哺乳類、ムカデなども
天敵になるのではないかと考えられます。
毒グモとはいえ、自身の肉に毒が含まれているわけではないので普通に捕食されてしまいます。

ベッコウバチ ハナバチ
↑ベッコウバチ(左)、ハナバチ(右)


< セアカゴケグモの繁殖方法 >
セアカゴケグモは元々温かい地域が原産のクモですので、活動が活発になる夏が繁殖期になります。
交尾を済ませたメスは真ん丸で白色の卵嚢を1度に数個作り出し、
そこからだいたい15日程度で100匹前後の幼体が生まれてくるようです。
幼体は3〜4ヶ月ぐらいで交尾可能な状態に成長するので、
天敵が少ない快適な環境であればかなりの勢いで数を増やしていくことになります。



セアカゴケグモ 卵のう セアカゴケグモ 卵のうから出てきた子グモ
セアカゴケグモの卵嚢(左)と、卵嚢から出てきたばかりの幼体たち


< セアカゴケグモの毒とその症状、対処 >
一般的に出回っているセアカゴケグモの写真はほとんどメスのものです。
なぜなら毒グモとして騒がれているのはこの「メス」のみだから。
オスは毒を持っていません。
この点があまりニュースなどで紹介されていないのがちょっと不思議。

セアカゴケグモの毒はα−ラトロトキシンという名の神経毒です。
咬まれると、針で刺されたようなチクリとした痛みがあります。
その後咬まれた部分が毒の影響で赤く腫れあがり、30分後ぐらいからどんどん痛みがひどくなっていきます。
これだけの症状で済んでここから回復する場合も多いのですが、抵抗力が弱い子供や老人などの場合は
痛みが全身に広がり、発熱・発汗、頭痛、嘔吐、下痢、発疹などの症状に発展する場合があります。
血清が普及する前のオーストラリアでは死亡例も少数ながら存在します。

もし咬まれた場合、もしくはその疑いがあるときは、まず傷口を綺麗な水で洗い流します。
出血がある場合は毒を体外に出すチャンスとみて、止血はしないようにしてください。
そしてとにかく速やかに病院へ直行。
セアカゴケグモの毒に対して個人で行える効果的な処置は存在しません。
冷やして患部の痛みを軽減するぐらいのことはできますが、根本的な治療にはなりません。

それととにかくパニックにならないこと。
このクモが普通にウヨウヨいる原産地オーストラリアでもここ200年で死亡件数は13件程度。
その13件も、他の病気と合わせた合併症で亡くなったケースがほとんどです。
医療設備が普及した近年ではもう50年以上死亡者が出ていません。
マスコミが「殺人グモ」みたいな感じで煽っていますが、
過剰に恐怖を感じて取り乱す必要は全くありませんので、もし咬まれても落ち着いた対処をしましょう。

セアカゴケグモ


< セアカゴケグモとその卵嚢の駆除 >
もし成虫を発見したならば、繁殖されても厄介なのでなるべく駆除するようにしましょう。
叩き潰すか、一般的な殺虫剤で駆除することができます。
ただしセアカゴケグモは何らかの外的な刺激を受けたときに擬死行為(死んだふり)を行う習性があります。
死んだふりに騙されずに確実に仕留めるようにしましょう。

卵嚢の場合は外皮に邪魔されて殺虫剤の効果が薄い場合があります。
叩き潰すか焼却するなどして対処してください。

その後は速やかに最寄の警察や保健所に連絡をしてください。
殺した死骸や卵嚢を一緒に提出すると話が早くなってよいでしょう。


< セアカゴケグモは飼育できない >
セアカゴケグモのような話題の生き物を、ぜひ自分の手元で飼育したいという人もいるかもしれませんが、
ここで忘れてはいけないのが、セアカゴケグモは特定外来生物に指定されている生き物だということ。
生体も、その卵も、個人が飼育・保管・運搬することは禁じられています。
特に販売目的で飼育した場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金と非常に重たい罪が課せられます。
絶対に飼育しようなどとは考えないでください。


セアカゴケグモの危険性を訴える動画:

<近年のセアカゴケグモに関するニュース>
→2016年のセアカゴケグモのニュース
→2015年のセアカゴケグモのニュース
→2014年のセアカゴケグモのニュース
→2013年のセアカゴケグモのニュース
→2012年のセアカゴケグモのニュース
→2010年のセアカゴケグモのニュース


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